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株式会社ジェイティービー「着地型旅行商品の開発プロセス構築プロジェクト」をサポートしました

○クライアント:株式会社ジェイティービーJTB
○プロジェクト:着地型旅行商品の開発プロセス構築
○期間:2015年12月〜2016年3月

プロジェクト概要
長野県阿智村の「日本一の星空ナイトツアー」は、株式会社ジェイティービー様(以下、JTB)の手がけた代表的な着地型旅行商品です。着地型旅行商品とは、都市部の旅行業者が企画販売するパッケージツアーのような発地型商品に対して、来訪者を受け入れる地域側で造成される旅行商品のことです。そして、JTBの考える着地型旅行商品とは、地域との協働により作り上げた、地域ブランド化につながる旅行商品のことを指しています。
このような商品開発には、観光開発プロデューサーの存在が重要になってきます。これまでは、地域側のキーマンと一部のJTB観光開発プロデューサーの経験則によって開発が進められていたものがほとんどでした。しかし、前述のようなJTBの考える着地型旅行商品を各地域で展開していくためには、そのノウハウを各地域の観光開発プロデューサーが身につける必要がありました。そのためにも、基盤となる知識の体系化が求められていました。
そこで、グラグリッドがサポートに入り、JTBがこれまで手がけてきた代表的な下記の着地型旅行商品をモデルケースとして、その開発の経緯を紐解き、分析を行いました。そして、プロセスとして体系化したJTB版着地型旅行商品開発プロセス「地域デザイニングプロセス」を構築しました。

○モデルケース
長野県阿智村「日本一の星空ナイトツアー」
石川県白山市「恋のしらやまさん」

プロジェクトのポイント
<モデルケースの分析>

         ●インタビューの様子

○プロジェクトジャーニーマップによる振り返り
モデルケースを担当した観光開発プロデューサーをはじめ、地域側の関係者、キーマンにデプスインタビューを実施。インタビューではプロジェクトのはじまりから現在までの流れを時間軸で振り返りやすいように、プロジェクトジャーニーマップなるシートを用意し、そのシートに書き込みをしながら行いました。プロジェクトジャーニーマップには、いつ、誰が、何をしたかインタビューをしながら記述し、さらにその時の背景情報、エビデンスも書き込みながら、どんな意図でそれぞれの活動を行っていったのか明文化していきました。

         ●プロジェクトジャーニーマップへの書き込み

○ステークホルダーマップによる関係者間の見えない力関係を把握
また、インタビューではプロジェクト関係者(ステークホルダー)の関係性を把握するために、ステークホルダーマップも一緒に作りながら、各関係者間の立場、思惑、ビジネス上のつながり、地域内組織文化などを明らかにしていきました。 マップづくりにおいては、積み木を人に見立てて、それを動かしながら、その時のエピソードを振り返りました。それによって、数年前の出来事ではあったものの、話しを思い出すきっかけができたようで、かなり深い話しまで聞くことができました。

         ●ステークホルダーマップづくり

<着地型旅行商品ならではのポイント>
モデルケースとなった地域にて、これらのデプスインタビューを重ねて、その分析を進めました。そして、商品開発に求められるキーとなる活動内容や求められるステークホルダーを特定してきました。
ここでポイントとなったのが、観光開発プロデューサーだけでは、地域主導の着地型商品開発は作ることができない、ということでした。受入れ側としての地域の合意形成、それを主導する地域側リーダーの力量も問われてきます。力量というのは、地域の事業者や関係者を巻き込む力のことです。その上で、観光開発プロデューサーと地域側リーダーの信頼関係がなければ、なかなかコトは進まないという点も明らかになってきました。

<商品開発の山場は「コンセプト」づくり>
「なぜその地域に訪問しなければならないのか?」という問いは、着地型旅行商品に対する究極の問いです。それは、他の地域でも体験できるようなことを提供しても、その地域が選ばれる可能性は低くなるからです。
そのため、地域との協働による商品開発においてはワークショップなどを通じて、いかに地域らしさを発揮できる「コンセプト」を合意形成できるかがポイントになります。ここが、観光開発プロデューサー最大の腕の見せ所にもなります。そのために、観光開発プロデューサー自身がその地域文化を理解する、そんなプロセスも組み込みました。

<着地型旅行商品の開発は、サービスデザインのアプローチそのもの>
旅行商品のアイデアとしてどのような旅の過ごし方を提供するかについては、来訪者視点で地域のコンセプトに合致した旅の過ごし方を考えていくことになります。同時に、それを実現するための運用も考えていく必要があります。
これは、事業の全てをサービスと捉え、サービスを通じて得られる顧客の体験と、それを支える運営側の動きを合わせて全体設計するサービスデザインの考え方そのものです。
サービスデザインではフロントステージとバックステージという捉え方があります。今回は、フロントステージ設計として来訪者の体験ストーリーづくり、バックステージ設計として地域側の運営ルールづくりとして、それぞれの設計を進めていける活動を開発プロセスに組み込みました。また、地域活動ならではの特徴として地域活動に取り組む人々のチームワークがなんと言っても重要ということが見えてきました。まずは、地域の仲間を信頼しあえるチームビルディングをプロジェクトの最初に行うことも組み込みました。

<地域デザイニングプロセス>
これらの情報を体系化して、「地域デザイニングプロセス」としてまとめました。
プロセスの基本的な構造としては、コンセプト設計、商品開発、商品販売の3つの構成からなっています。各パートではワークショップやフィールドワークを実施しながら、具体化していく活動内容を記載しております。これらの知識を観光開発プロデューサーがプロジェクトを進めていく上でのリファレンスとして活用することになります。
もちろん、商品開発においては、本プロセス通りに進めれば、魅力的で売れる商品が必ずできるわけではありません。いかに観光開発プロデューサーが地域への愛着を持って、地域の人々と信頼関係を築きながらプロジェクトを進めていくことが重要になってきます。そしてこれから、いよいよ実践始まります。

         ●地域デザイニングプロセスのドキュメント

         ●構築したプロセスの全体像

<クライアントコメント>
Q.今回のプロジェクトを振り返っての感想と、今後の取り組みについて教えてください。

●山下真輝氏
 株式会社ジェイティービー グループ本社 国内事業本部 法人事業部 観光戦略チーム 観光立国推進担当マネージャー

全国各地で様々な観光振興による地域活性化への取り組みが進んでおります。
時代とともに旅行のスタイルも変化しており、従来の観光スポットだけをPRしても観光客を増加させていくことは難しくなっています。
ニューツーリズムの推進という名のもとで地域資源を掘り起こし、着地型観光商品が開発する動きが活発に行われていますが、集客に苦労し、継続的な取り組みにならないことに悩みを持つ地域が数多くある現実があります。
その一方で地域の本当の強みを見極め、旅行者を楽しませる新しい体験価値を創り出し、観光客増加に成功した地域があります。
これまでは成功事例として表面的な事例紹介は数多くありましたが、本当にお客様が求める着地型商品を開発していくプロセスは明確にされておりませんでした。
「地域デザイニング」という考え方は、JTBがこれまで取り組んできた観光地域づくりや旅行商品開発の経験とグラグリッド様の持つサービスデザインのノウハウを融合させ、市民協働による地域ブランドづくりにつながる着地型商品の開発プロセスを見える化したものです。
単なる旅行商品開発としてではなく、来訪者に地域を五感で感じてもらうことで、観光客から地域のファン、サポーターになってもらい、さらには地域の強力な推奨者である「アンバサダー」となっていくための地域との接点づくりとして着地型商品を捉え直すというものです。
私たちはこの考え方が地域主導で継続的に旅行者を集客していくための仕組みづくりのための羅針盤となると考えています。
そして地方創生時代における新たな観光振興の考え方として全国各地で取組みが進んでいくことを祈念するとともに、その普及に向けて活動を進めていきたいと思います。
改めてこの度は(株)グラグリッド様に多大なるご協力とご支援をいただきましたことを心より御礼申し上げます。

●大澤 幸博氏
 株式会社ジェイティービー グループ本社 国内事業本部 法人事業部 観光戦略チーム

今回、「阿智村のナイトツアー」や「恋のしらやまさん」という弊社での取組事例を分析・可視化頂き、着地型旅行商品開発プロセスの標準化を行い、着地型旅行商品による地域ブランド化に向けた取組みマニュアル(手引書)が出来ました。グラグリッド社様には、引き続き、地域デザイニングの定着とマニュアル類のブラッシュアップ等にご協力頂きたいと思います。

山下さん、大澤さん、ありがとうございました。

「地域デザイニング」に関する今後の予定
本プロジェクトの成果物であるプロセスは、株式会社ジェイティービー様の地域ブランド化に向けた事業プログラム「地域デザイニング」としてサービス化される予定です。

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