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2017 4/1 サービスデザインのプロトタイピングツールとしての即興劇「フォーラムシアター」

最近、「即興劇」の可能性に注目している。
その場の状況から生まれる劇の意外性が、発想を促進し、サービスを創出することに活用できるのではないかと期待しているからである。
2012年のパリで開催されたサービスデザインの国際カンファレンスでも、即興劇を活用したワークショップが行われており参加した。それ以来、ずっと気になっていたが、先日、先行して取り組みを進めているお笑い芸人の方との出会いから、実験的に考察を進めてみようと思い立った。

Service Design Global Conference 2012 Parisでのワークショップの様子

●Service Design Global Conference 2012 Parisでのワークショップの様子

パリでのワークショップでは、theatrical methodという名前で、簡単に言えば、あるシーンを演じるアクターがなぜそう考えたか、演じたかを次々に引き出しながらインサイトを導き出し、場で共有するという方法であった。

また、身体を使ったメソッドの広く知られているのはボディーストーミングやアクティングアウト。それらは、サービスデザインの文脈においては主にアイデアを可視化、検証するツールとして使われており、グラグリッドとしても企業のワークショップなどで使っている。そして、このパリのワークショップに参加して以来、演劇をアイデア発想のツールとして使えないか模索していた。

そこで、まずは自分が演技のことをもう少し勉強してみようと、約半年の演劇ワークショッププログラムに参加した。現役の俳優さんが先生で、受講生は俳優を目指す人が多くいる中、素人の私がいた。なかなか緊張感のあるワークショップではあったが、その中で、2人で行う即興劇の演習があった。
即興劇が面白いのは、「それぞれの役の目的をぶつけ合うリアルな反応が、見る人を楽しませるのだ」とその講師が言っていたことが印象に残っている。

シーン例:不動産でのやりとり

●シーン例:不動産でのやりとり

例えば、不動産屋でのお客様と営業マンとのやり取り。即興劇をすると、その設定で、そんなことを言うんだ、という意外性が生まれる。 ここで気づいた。その意外性が新しいアイデアを創出するときのヒントになり、即興劇は意外性を引き出す環境を作り出すことができるツールになるのではないかと。これをワークショッププログラムにして、サービスデザインの文脈で活用できないかと。考えて早5年。。。

そこで、ワークショッププログラムとして成立させる場合、いくつか考える観点があるのではないかと思った。

●「演劇スキル」と「ドメインナレッジ」
ワークとして行う場合、即興劇を誰がやるのか?はひとつテーマになる。
もちろん、参加者が役を演じればよいのだが、その際考えるべきポイントは演じる人の演技スキルと、設定における専門のドメインナレッジだと思われる。
この観点は、ユーザビリティのエキスパートレビューを実施するときと同じように考えられるのではないか、という発想からだ。
演技スキル、これは劇を演じるスキルそのもの。
ドメインナレッジは、演じる役(ショップ店員など)が持っている専門知識。
役者にはその両方が求められるのではないかと思う。
これは、即興劇をやっている役者のプロに専門知識を勉強してもらうか、業務の専門家(実際のショップ店員など)に即興劇を学んでもらうか、という話しにつながる。

●アイデアの「発想ツール」や「検証ツール」を超えた新たな可能性
当初の気づきから、即興劇を発想ツールとして利用することを考えていた。
しかし、発想ツールか検証ツールかではなく、その両方の機能を兼ねているサービスのプロトタイピングツールとしての利用可能性も出てきた。
最近、この話しを専修大学の上平先生とディスカッションしているときに、「フォーラムシアター」という手法を教えてもらったからだ。

フォーラムシアターは、同じシナリオの劇を2回演技する。ただし、2回目は途中で参加者(劇を見ていた人)が、ストップをかけ(ダメ出しのようなもの?)をして、自分ならこうする、というアイデアをその場で役者に成り代わって自分で演じるのである。なので、この話しを聞いたときに、2回目は劇が参加者のアイデアで上書きされていく即興劇版プロトタイピングだと感じた。

詳細は上平先生のブログを参照。

これらの観点を含めて、ワークショッププログラムを考えたい。

●サービスデザインにおけるプロトタイピングツールとしての「フォーラムシアター」
フューチャーセッションをはじめとして対話の場で使われるフィッシュボウルという手法がある。これは、参加者らが二重の輪になって座り、テーマに対して、内側の輪の人たちが対話している様子を外側の輪の人たちが聞く。外側にいる人でも対話からインスピレーションを得て、自分でも話したくなったら、内側の輪に入って対話に参加することができる。というもので、私は、テーマに対して問題すら定義できないような状況で、気づきを得たいときに利用している。
フォーラムシアターは、内側の輪が即興劇になっているイメージに近いのだろうと思った。そのイメージでフォーラムシアターをやることはできないか考えている。

また、インプロスキルとドメインナレッジの話しに戻るが、ワークショップの実現に向けては、最近、お笑い芸人の方とつながりを持つことができた。しかも、即興劇を売りにされている。その名も「モクレン」。「モクレン」のお二人は、即興劇を企業研修でも活用されており、ここで考えているフォーラムシアターのプログラムを共同で研究を進めていくには相性のよいパートナーになるのではないかと考えている。今回は、即興劇のプロの役者としてモクレンを招聘し、彼らに業務知識をインプットしていただくアプローチでまずはプログラムを試したいと思う。

モクレン

さて、ここから何が生まれるのか、生まれないのか。 まずは試してみよう、ということで実験的なセッションを開催して可能性を探ってみようと思う。
実験の結果をお楽しみに。

(尾形)

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