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Labo03

2015/07/28 共創と協創の違い

サービスデザインの分野において、「共創」は原則のひとつになっているくらい重要な考え方であり、ツールである。
また、協力の「協」を使った「協創」も、同様の意味として使われることがある。ここでは、この違いについて探ってみたいと思う。

共創

まずは、共に創る共創について。サービスデザインの教科書的な書籍である「This is Service Design Thinking.」では、下記のような記述がある。

“サービスデザインでは、それぞれの立場の異なるすべての人々をプロセスに誘い込み、創造性を発揮してもらわなければなりません。創造性とは、決して天賦の才能などではなく、頭に浮かぶアイデアの流れに耳を傾け、それを的確に表現する方法を見つける作業です。そのような場で、各種のメソッドやツールを活用すれば、さまざまなユーザーの視点から真の洞察を得てコンセプトを探り、アイデアを膨らませ、プロトタイプを作り、テストすることができます。
こういった作業が共創であり、この姿勢をデザイン・プロセスに参加するあらゆるステークホルダーに浸透させることが、デザイン思考のカギでありサービスデザインの基本”

この内容から、共創はサービスを顧客と「共に創る」ことではあるが、もう少し深掘りするとステークホルダーと共に、創造性を発揮できる場で活動を進めながら、この姿勢をステークホルダーに浸透させていく活動と言える。そのため、サービスデザインのプロセスやツールがあるだけでは成り立たず、創造性を発揮させるために求められるファシリテーションも重要になってくる。

少し話しはそれるが、グラグリッドでは様々な形の共創プロジェクトを実施しており、「共創とファシリテーション」と題して、NPO法人HCD-Netのサービスデザイン方法論実践編(調査)でも、共創の事例の紹介やファシリテーションのポイントを紹介した。実践されている受講生も多く、改めてその重要性を認識できたという声もあったが、実践においては、当日の「場」を運営することよりも、その場にステークホルダーを誘い込む段階が最も難しいという声が多く聞かれた。これは、本当に来て欲しい人に来てもらえないという状況が発生しているのである。

この例からも、創造性を発揮する場をつくるには、事前にステークホルダーとのコミュニケーション、信頼関係を築くことがポイントとなる。

一方で、協力して創る「協創」について。「日本」の売り方 協創力が市場を制すの著者で、慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント学科の保井俊之教授によると協創力を下記のように整理している。

“協創力
人と人の思いの連鎖を意識して使うこと。そして、人と人との思いのつながりを駆使して問題を解決するため、関係するみなが集まる「場」を作ること。「場」は物理的・地理的な場所でもよいし、ネット空間のような仮想の場所でもよい。「場」を活用してみんなで問題解決をデザインするために力を出し合うこと。その力が「協創力」だ。”

この内容からだと、協創も共創も大きな違いはないように思える。
しかし、「力を出し合うこと(協創)」と「あらゆるステークホルダーに浸透させること(共創)」という表現の違いに、その視座が異なるのではないかと考えられる。

共創は、どちらかというと場を作って全体を進めていこうという立ち位置で、全体を俯瞰して見ている印象がある。一方で、協創は現場に近い立ち位置で、自らがその場を構成している当事者として活動している人が使う言葉に近い。

つまり、この違いを考えることで、場に自分がどのように関わるか?といった立ち位置の違いを認識させてくれる。
「きょうそう」は奥深い。

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