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2017 4/24 学生に種を蒔くサービスデザイン講義

●サービスデザイン集中講義スタート
4月24日から金沢美術工芸大学デザイン専攻の学生向けに、サービスデザインの集中講義がスタートしました。 同校の卒業生でもある弊社の三澤が講師を務めます。

金沢美術工芸大学 サービスデザインの集中講義

過密なスケジュールで1年を終え、この春2年生になったばかりの学生に「デザインの制作作業」ではなく突然ビジネス目線の話を振ることになります。どんな反応が返ってくるでしょうか?

今回の集中講義では、金沢の和菓子屋の 「買い方、食べ方、関わり方」を新たにデザインするため「〜初めて来た顧客がリピーターになる  新しいサービスの創出〜 」を考えてもらうワークがメインとなります。

まず「サービスデザインとは何か、どのように取り入れられるものか」という講義から。 実際のシーンを例に、お客さんが現場でどのような状況に置かれているか?またその中で心地よい体験をするにはどんなことが必要かを解説しました。

初めて来た顧客がリピーターになる  新しいサービスの創出

●常にお客さんが主役であるように考え、様々な分野で連携することが重要です。

自動車利用や普段の買い物など、普段自分たちが利用しているサービスの新しいかたちを知ることで、発展したサービス、またそれらがすべて「体験の演出」を踏まえて作り上げれられていることを知ってもらいました。

●消費の変化をふまえた、金沢の和菓子のサービスデザイン
現在はむかしのように、物を作れば作るだけ売れるただの消費の時代はすでに終わり、顧客はそれぞれが利用体験そのものに価値を見出しています。

サービスデザインの5つの原則に加え、サービス設計で利用できる3つのツールと大切な2つの考え方を紹介。これらを踏まえた上で新たな和菓子体験を考えてもらいます。

金沢の和菓子のサービスデザインを考えるにあたり、金沢の老舗和菓子屋3社にご協力をいただきます。その中から柴舟小出の小出社長より、金沢の和菓子について歴史や課題をお話いただきました。
お話では、今「ウケている」和菓子の状況などをお話いただき、古式ゆかしいだけではなく変革が求められている点には、老舗であるところでとどまらない、先を見据えつづけていこうとする想いを感じられました。

●これから学生がチャレンジすること
さて授業は4月〜6月の3ヶ月間に渡り、各1週間ずつという変則的な集中講義となります。この間に学生たちがどんな取り組みをしていくのかをご紹介します。

4月は「顧客視点で体験価値を考える」
授業では、いきなり和菓子の新しい体験を考えるのではなく、まずは自分たちが「何度も足を運んでいる」体験をチームに共有してもらうところから始まりました。
自分たちが利用者として「何回も足を運んでいる」サービスや店舗などを取り上げ、利用前後・利用中にどのような体験をして、どんな気持ちになっているか?を分析しながらカスタマージャーニーマップ(以下CJM)を作成してもらいます。
グループのうち1人の体験を他のメンバーも共有できるように、メンバー全員が同じところに行き、同じサービスを体験してもらった上でひとつのCJMとしてまとめます。

体験の共有はもうひとつ。なんと60名全員で茶道の「お茶と和菓子」を体験!

金沢市立中村記念美術館、旧中村邸の本格的なしつらえの中、裏千家茶道教場草戊会の山本茂先生より室内の装花や掛けられた書の意味、場づくりには利用時の背景などを聞き、テーマを決めるところから時間をかけて準備することなどをうかがいました。
もちろん金沢の和菓子をいただきながらの濃茶、薄茶の流れも体験。これもグループごとのCJMとしてまとめ、ここから「何度も足を運びたくなる」価値を見出していきます。

最終日には、これら2つのCJMと合わせて、体験の分析から見つけることが出来た「何度も足を運びたくなる価値」を各チームに発表してもらいました。
さすがは美大生、出来上がるCJMがビジュアル的にとてもキャッチーにまとめられていて、イラスト要素の大小で感情の振れ幅の大小を表すなど、オリジナリティあるスタイルでの発表がいくつも見られました。
実際には発表用のCJM制作とともに、付箋を利用しながら体験をひとつずつ細かく書き出しながら分析をしたものも併せてプレゼンし、両方の重要性や効果も感じてもらいました。

CJMにはさまざまな用途がありますが、今回はサービスデザインの最初のプロセスとして「コンセプト発想のヒントを得る」ために活用しました。そのため、1人のリアルな1体験を、感情の動きに注目しながら図示し、詳細に分析をしてもらいました。感情の背景にある曖昧な部分や、ピックアップに至らない微妙な機微まで、感情曲線に注目したCJMを活用することで、ヒントを見つけることができるのです。

CJMの書き方の種類と効用

今後は、題材となる和菓子屋さんを訪問してエスノグラフィー調査を行い、サービスの全体像を捉えていってもらいます。何度も足を運びたくなる和菓子屋さんを学生の体験から新たなサービスを生み出し、最終的にはプロトタイプと映像で発表してもらいます。
※このプロトタイプは夏に展示発表も予定していますので、金沢近郊の方、また金沢へお出かけの際には是非ご覧ください。

●金美の学生から感じられた利他性
学生さんたちがピックアップした利用者の体験の中には、自分が良いと感じた(もしくはあまり良いと感じなかった)点の他に、同じようなことを他の人にも体験してもらいたい、こんな素敵なものがあることをあの人にも知ってもらいたい、という利他的な面が見られました。 自分の中の価値判断の近くに、誰かにも教えたい、共有をしてその人にも喜んでもらいたいという気持ちが多くあるようです。
こういった前向きな利他性がある世代の人たちがサービスデザインを知り、社会にでて現場の一線で活躍するころには、様々なサービス、ものの在り様が良い方向に大きく変化していくのではないでしょうか。

引き続き5月、6月もまたレポートしてまいります。
レポートby なごやん

関連情報:金沢美術工芸大学

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